(1)
・国際単位系SIの基本単位:長さ[m]・質量[kg]・時間[s]・電流[A]・温度[K]・物質量[mol]・光度[cd]の7つ。
☞速さ[m/s]・加速度[m/s2]などの単位は、基本単位を組み合わせることによってつくられ、組立単位と呼ばれる。
ストロボスコープ 物質の運動〔運動の向きと速さ〕 速度〔速さと運動の向きを合わせたもの〕
速さ=(物質が移動した距離)÷(移動するのにかかった時間) ☞ v=s/t (s=vt)
速さの単位〔m/秒(メートル毎秒)・km/時(キロメートル毎時)など〕
平均の速さ 物体がある時間、同じ速さで動き続けたと考えたときの速さ。〔一定の速さ・瞬間の速さは刻々と変化しているが、
一定区間を最初から最後まで一定の速さで走ったことにして、走った距離を所要時間で割る〕
☞時速72km[km/h]=分速___m/分[m/m]=秒速___m/秒[m/s]
(時速[km/s]を秒速[m/s]にするときは、3.6で割る)
瞬間の速さ スピードメーターで表示されるような、次々と変化する速さ。
〔速さが変わる運動で極わずかな時間に移動した距離をその時間で割る・走行中のスピードメーターの針〕
運動の種類:①摩擦のない水平な床の上を転がる球(速さ不変・向き不変)②投げ上げた球(速さ変わる・向き変わる)③斜面を転がり落ちる球(速さ変わる・向き不変)
④円形の線路上を等速で走る模型の電車(速さ不変・向き変わる) 運動の性質:(動いている電車に乗っていて、加速中は後ろに倒れそうになり、等速のときはそのままの状態で、減速中は前に倒れそうになる)
記録タイマー:1秒間に50打点打つ〔=1打点を1/50秒〕とき、5打点が17.2cmなら、速さ=___m/秒
打 |
50 |
5 |
秒 |
1 |
|
cm |
( ) |
17.2 |
運動の向きに力が働くとき:物体に働く力が大きいほど、速さの増加は大きい。
力が働く物体の運動〔等加速度運動など〕では、その速さや向きが変わる・
v=v0+at / x=v0t+(1/2)at2 / v2-v02=2ax
☞1秒間に50打点を打つ場合: 5打点ごとに切ったテープは0.1秒。
1秒間に60打点を打つ場合: 6打点ごとに切ったテープは0.1秒。
☞急な斜面となだらかな斜面では、0.1秒ごとに切ったテープを始点をそろえて何枚か貼り付けると、終点同士を結んだ直線の傾きは、急な斜面では急になり、なだらかな斜面ではなだらかになる。
等速直線運動 一定の速さで一直線上を動く運動。
〔一直線上を一定の速さで進む運動・距離は時間に比例する〕
等速直線運動のグラフ〔v-tグラフ:横軸に平行、s-tグラフ:原点を通る直線:s=vt〕
雨粒が一定の速さで落下〔重力と空気の抵抗力がつりあっている〕
斜面を下る運動 速さが次第に大きくなる運動(重力を斜面方向と斜面に垂直な方向に分解している。斜面の傾きが90oになると落下運動。斜面を下る台車には、
一定の大きさの力が働き続けている。斜面の傾きが大きくなると、台車に働く斜面方向の力の大きさは大きくなる。台車の運動の向きに働く力が大きいほど、
速さの増え方が大きくなる。)
☞基準面から60cmの高さから落下した球が、基準面から30cmの高さで水平に移動したときの速さは、60cmの高さから基準面まで落下して、
水平に移動したときの速さの1/2である。(位置エネルギーの差より)
落下運動 (物体に働く力の大きさは、重力の大きさに等しい・空気の抵抗がなくなれば、羽毛と金属は同じ速さで落下する・落下運動する物体の、速さの変化の割合[重力加速度]は物体の質量に関係なく一定である。落下運動では、時間が2倍、3倍、4倍…になると、速さは2倍、3倍、4倍…になり、落下する距離は4倍、9倍、16倍になる。おもりが落下して、位置が低くなっても、おもりに働く重力の大きさは変わらない。)
☞力とは、ニュートンによると「物体に加速度を生じさせる働き」のこと。
v=v0+gt / h=v0t+(1/2)gt2 / v2-v02=2gh
自由落下 (真下に自然に落ちる運動)
分力 (ぶんりょく・分解されたそれぞれの力)⇔合力(ごうりょく)
ニュートンの「慣性の法則」〔物体は外部から力を加えないと静止し続ける。運動しているときは等速直線運動を続ける〕
(他の物体から力が働かない場合、または、力がつりあっている場合、静止している物体はいつまでの静止し、運動している物体はそのままの速さで等速直線運動を続ける・だるま落としのだるまやカーリングのストーン)第1法則
慣性 (慣性の法則が成り立つ物体の性質・すべての物質は慣性を持っている)
慣性の法則 ①物体に力が働いていないとき、物体は静止し続けることと、②力が働いているとき、等速直線運動をし続けること。
〔問〕①等速直線運動をしている電車の中で、読んでいる本を手放すと本はどのような落ち方をするか。
②また、この電車が急ブレーキをかけると床の上に置いたボールはどのような力を受けるか。その理由も答える。
☞①真下に落ちる(自由落下) ②進行方向。ボールが等速直線運動を続けるから。
〔問〕カーリングのストーンが氷の上ではほぼ等速直線動をする。氷をブラシでこする(スウィーピング)とストーンの速さを保てますが、その理由:☞氷とストーンの摩擦力が小さくなるから。(慣性の法則が成り立つため)(ボールが慣性をもっているので、もとの運動を続けようとするため。)
〔問〕密閉した直方体の容器の中に、空気を入れて膨らませて底に置いた風船Aと床に固定した糸の先にヘリウムガスを入れて膨らませた風船Bがある。容器を右に勢いよくずらした瞬間、容器の中の2つの風船はどのような動きをするか:☞慣性の法則によって、風船Aは左に動く。容器の中の空気も慣性の法則によって動くため、容器の左側の空気が濃くなる。よって、風船Bは空気より軽いので、空気の薄い右側に動く。
ニュートンの「作用・反作用の法則」 ある物体に力を加えると、同時にその物体から反対向きに同じ大きさの力を受けること。机の上に物体が載っているとき、「重力(物体の重心から矢印が出る)」と「机が物体を押し返す力(垂直抗力)」の2つは、1つの物体に働くので、作用・反作用ではない。矢印で表すと、作用点が2つになる。一方、「物体が机を押す力」と「机が物体を押し返す力(垂直抗力)」の2つは、2つの物体に働くので、作用・反作用である。矢印で表すと、作用点が2つになる。(注意)
〔力は2つの物体間で必ず一対になって働く・作用する力が物体Aから物体Bに働けば、反作用の力は物体Bから物体Aに働く〕(第3法則)
☞2つの力のうち、注目する一方の力を作用、もう一方を反作用という。
第2法則は等加速度直線運動〔v-tグラフ:原点を通る直線、s-tグラフ::s=vt2〕 F=ma
(物体に力が働くと力の方向に加速度aが生じ、その大きさは力の大きさFに比例し、質量mに反比例する)
エネルギー 仕事をする能力。他の物体に対して、仕事ができる状態にある物体は、「エネルギーをもっている」
(他の物体に力を加えて、その物体を動かしたり、変形させたりできる能力・いろいろな働きをする能力)
①位置エネルギー 高い所にある物体がもっているエネルギー。ある基準面から上にある物体が、静止していてももっているエネルギー。高さと、質量が大きくなるほど位置エネルギーは大きくなる。
(物体の位置をもとにして決まるエネルギー・重力による位置エネルギーは、高いところにある物体ほど、
また質量が大きい物体ほど大きい。高さが2倍、3倍になると位置エネルギーも2倍、3倍になる)
位置エネルギー[J]=物体に働く重力[N]×基準面からの高さ[m] F=mgh
②運動エネルギー 運動している物体が持っているエネルギー(速く運動する物体ほど、また質量が大きい物体ほど大きい・速さが2倍、3倍になると運動エネルギーは4倍、9倍になる。風力・手回し・水力タービンなど)
運動エネルギー[J]=0.5×質量[kg]×速さ[m/s]×速さ[m/s] F=(1/2)mv2
③弾性エネルギー (ゴムやバネ、ゼンマイをねじったり引っ張ったり縮めたりする・位置エネルギーの1つ・変形の大きさで測定する)
k:バネ定数[N/m], x:[m] F=(1/2)kx2
④電気エネルギー ([J]=[W]×[秒])(モーターを回すなど。圧電素子を床に使うと踏みつけると電気を発生)
⑤熱エネルギー (蒸気タービンやエンジンを動かす・物体を膨張させることも入る・1gの水の温度を1℃上げるのに必要な熱エネルギーは4.2J / 4.19J)
〔例〕40gの水の温度を6℃上昇させるためには、40×6=240 [cal]つまり、240×4.2=1008 [J]の熱エネルギーが必要である。 ペルチェ素子=熱を移動させる素子で電気製品の内部を冷却
⑥光エネルギー (光電池or太陽電池に電流を流せる力。太陽光発電など)
⑦音のエネルギー(振動させる力)
⑧化学エネルギー (燃料のように化学変化によって熱エネルギーなどを取り出すことができるエネルギー・化学物質に含まれていて、化学変化によって取り出せる。電池など)
⑨核エネルギー(原子核の反応つまり核分裂などで得られるエネルギー)など
力学的エネルギー 〔位置エネルギーと運動エネルギーの和〕
力学的エネルギー保存(の法則) 〔摩擦や空気抵抗がなければ、位置エネルギーと運動エネルギーの和は一定に保たれる。〕
(参考)位置エネルギーと運動エネルギー以外のエネルギーはいろいろな姿に変化する。
ふりこの運動の場合:
位置エネルギーは、「最大・減少・0・増加・最大」となり、運動エネルギーは「0・増加・最大・減少・0」となる。一エネルギーと運動エネルギーの和である「力学的エネルギー」は位置エネルギーの最大値の同じで、つねに一定である。
基準面より30cmの位置にある物体がもつエネルギーの大きさをEとすると、10cmの位置にある物体がもつ位置エネルギーは(1/3)E、運動エネルギーは(2/3)E、力学的エネルギーはEとなる。20cmの位置にある物体がもつ位置エネルギーは(2/3)E、運動エネルギーは(1/3)E、力学的エネルギーはEとなる。
エネルギーの保存(の法則) 〔エネルギーが移り変わる前後で、エネルギー全体の量は一定に保たれること・エネルギーの種類は変わってもその総和は一定〕
エネルギーの移り変わり
〔例〕・TV=電気エネルギーを光、音、熱のエネルギーに変換 ・火力発電=熱エネルギー→電気エネルギー
・石油などの燃料=化学エネルギー→熱エネルギー ・光電池=光エネルギー→電気エネルギー
・電灯・照明=電気エネルギー→光エネルギー ・車のエンジン=熱エネルギー→運動エネルギー
・ジェトコースター・くい打ち機=位置エネルギー→運動エネルギー
・火おこし器の棒を回転させると火種ができる=運動エネルギー→熱エネルギー
・ケミカルライトや蛍の発光=化学エネルギー→光エネルギー ・水の電気分解=電気エネルギー→化学エネルギー
・カーボンニュートラル:光合成によって二酸化炭素を吸収している植物を育てると、大気中から二酸化炭素が減少する。「減少する二酸化炭素の量」と、「燃料として使うときに放出される二酸化炭素の量」が等しいので、大気中の二酸化炭素の量は変わらないこと。
・一次エネルギー:石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料、そして原子力の燃料であるウラン、また、水力、太陽、地熱などの自然エネルギーで、
自然から直接得られるエネルギーのことをいう。これに対し、二次エネルギーとは、電気、ガソリン、都市ガスなどの一次エネルギーを変換や加工して得られるエネルギーのこと。
・再生可能エネルギー:石油、石炭、天然ガスなどの資源の枯渇に備えて、太陽光や風力、地熱、波力などをエネルギーとして使う発電方法が開発されている。
このようなエネルギーのこと。
・変換効率:もとのエネルギーから目的のエネルギーに変換された割合のこと。
・コージェネレーションシステム:電気を使う場所の近くに発電機を設置し、そのときに出る余分な熱を
暖房や給湯に再利用したりする仕組み。
力の単位 [N](ニュートン)質量1kgの物体に1m/s2の加速度を生じさせる力の大きさを1Nとする。
☞100gの物体に働く重力の大きさを1Nとする。(1kg=10N) ☞[N-2-g]と考える。
エネルギーの単位 [J](ジュール)
☞①1mの高さにある約100g(=1N)の物体が持つ位置エネルギーの大きさと
②1Wの電力を1秒間使ったときの電気エネルギーの大きさはどちらも1Jである。
仕事 [J]=力の大きさ[N]×力の向きに動いた距離[m](移動距離)
☞5kgの物体を2m引き上げたときの仕事の量は、5kg=50Nより50[N]×2[m]=100[J]//
☞物体に力を加えて、(重力や摩擦力に逆らって)その力の向きに動かしたとき、その力は物体に対して仕事をしたという。
仕事率 [W]=[J]÷[s] 一定時間におこなう仕事(単位時間にする仕事)
☞動滑車を使うと、動滑車に対しても仕事をするので、時間が同じであっても仕事率[W]は大きくなる。
☞5kgの物体を10秒かかって2m引き上げたときの仕事率は、
5kg=50Nより50[N]×2[m]÷10=10[W]//
仕事の原理 同じ仕事をするとき、道具を使っても使わなくても、仕事の量は変わらないこと。
(道具を使っても使わなくても仕事の大きさは変わらない。)
水溶液とイオン:
・原子は①原子核(+の電気をもつ陽子と電気をもたない中性子がある。ただし水素原子には中性子がない)とその周りにある②-電気をもつ電子から成る。
水素と重水素のように、同じ元素でも中性子の数が違う原子を「同位体」という。中性子の個数は、水素が0個で重水素が1個。
原子には、陽子と電子が同じ数ずつあるので、原子全体として電気を帯びていない。
電解質:水に溶けたとき、イオンに分かれ(電離して)、電流を通す物質(塩化水素・塩化ナトリウム水溶液[食塩水]、塩化銅水溶液、水酸化ナトリウム水溶液など)
非電解質:水に溶けても電離しないので、電流を通さない物質(砂糖・エタノール・スクロースなど)
☞食塩は非電解質、食塩水は電解質。水に溶かさず、固体のままだと塩化ナトリウム(食塩)・砂糖・塩化銅・水酸化ナトリウムは電流を通さない。エタノールも電流を通さない。
イオン:原子が+または-の電気を帯びたもの。最初に考えついたのはイギリスのファラデー(1791-1867)
・陽イオン(cation):原子や原子団が電子を失って正電荷をもったもの。+の電気を帯びたもの。
①1価(水素イオンH+・ナトリウムイオンNa+・アンモニウムイオンNH4+・カリウムイオンK+など)
②2価(銅イオンCu2+・カルシウムイオンCa2+・マグネシウムイオンMg2+・亜鉛イオンZn2+・鉛イオンPb2+・鉄(Ⅱ)イオンFe2+・バリウムイオンBa2+など)
③3価(アルミニウムイオンAl3+・鉄(Ⅲ)イオンFe3+)
☞①単原子イオンは「元素名イオン」…Ag+銀イオン・Cu2+銅イオン・Ba2+バリウムイオン・K+カリウムイオン・Ca2+カルシウムイオン・Al3+アルミニウムイオン・Fe2+鉄(Ⅱ)イオン
②多原子イオンは「~ウムイオン」…NH4+アンモニウムイオン H3O+オキソニウムイオン
・陰イオン(anion):原子や原子団が電子を受け取って負電荷をもったもの。-の電気を帯びたもの。
①1価(塩化物イオンCl-・水酸化物イオンOH-・硝酸イオンNO3-・炭酸水素イオンHCO3-など)
②2価(酸化物イオンO2-・硫化物イオンS2-・硫酸イオンSO42-・炭酸イオンCO32-など)
③3価(リン酸イオンPO43-)
イオン式:原子の記号の右上に、帯びている電気の種類と数を書き加えた式。
☞①単原子イオンは「~化物イオン」…塩化物イオンCl-・硫化物イオンS2-
②多原子イオンは「~酸イオン」…硝酸イオンNO3-・硫酸イオンSO42-・炭酸イオンCO32- ・炭酸水素イオンHCO3- 〔例外〕水酸化物イオンOH-
・電離:電解質が陽イオンと陰イオンに分かれること。
・イオンの動きと電気分解:
(例)塩酸の電気分解:
①塩酸(塩化水素水溶液)は、電圧がかかっていないとき、水素イオンも塩化物イオンもばらばらの向きに動いている。
②電圧がかかって、電気分解が起こっているとき、水素イオンは陰極に向かい、塩化物イオンは陽極に向かって動いている。
③陰極で水素イオンH+は、電極から電子を受け取って水素原子Hになり、次に水素分子H2になる。H++e-→H, H+H→H2
④陽極で塩化物イオンCl-は陽極に電子を取られて塩素原子Clになり、次に塩素分子Cl2になる。Cl-→Cl+e-, Cl+Cl→Cl2
・指示薬:水溶液の酸性、アルカリ性によって色が変わる薬品。
①BTB溶液:酸性(黄色) 中性(緑色) アルカリ性(青色)
②フェノールフタレイン溶液:酸性と中性(無色) アルカリ性(赤色)
③紫キャベツ:酸性(赤色) 中性(紫色) アルカリ性(黄色)
④pH試験紙:酸性(赤色pH=0) 中性(緑色pH=7) アルカリ性(濃い青色pH=14)
(溶液の酸性、アルカリ性はその溶液に含まれるH+やOH-の量によって決まる。この度合いを表す尺度をpH:水素イオン指数という)
・酸:水溶液中で電離して、水素イオンH+を生じる物質
塩酸HCl→H++Cl- (希)硫酸H2SO4→2H++SO42- 硝酸HNO3→H++NO3-
酢酸(弱酸)CH3COOH→CH3COO-+H+ ホウ酸(弱酸)H3BO3, B(OH)3
☞希硫酸は水の働きで水素イオンと硫酸イオンに電離するが、濃硫酸には水がほとんど含まれていないので、
電離がおこなわれず、水素イオンが存在しない。このため酸性を示さなくなる。
・アルカリ:水溶液中で電離して、水酸化物イオンOH-を生じる物質。強い塩基性のこと。
水酸化ナトリウムNaOH→Na++OH- 水酸化バリウムBa(OH)2→Ba2++2OH-
水酸化カルシウムCa(OH)2→Ca2++2OH- アンモニア水(弱アルカリ)NH3+H2O→NH4++OH-
・中和:水素イオンと水酸化物イオンが結びついて水が生じる反応。酸とアルカリが互いの性質を打ち消し合って中性になること。酸+アリカリ→塩(えん)+水
・中和反応:酸の水素イオンとアルカリの水酸化物イオンから水ができる反応。H++OH-→H2O
☞中和による水の生成を確かめる実験:
青色にした塩化コバルトを氷酢酸(ひょうさくさん・純粋な酢酸)に加える。氷酢酸には水が含まれていないので、
塩化コバルトを加えた氷酢酸は青色のままである。次に、氷酢酸に水酸化ナトリウムの粒を加えてよく振ると、
赤色に変化する。これは中和によって水が生成し、塩化コバルトを赤色に変色させたからである。
・中性:水溶液がpH7の状態。
***中2へ
酸化(物質が酸素と化合する化学変化・激しい反応と緩やかな反応がある。) 酸化物(酸化によってできた物質)
燃焼(酸素と化合して、熱エネルギーや光エネルギーを出す激しい反応)
マグネシウムの燃焼(マグネシウムが空気中の酸素と化合するときに、光エネルギーや熱エネルギーを出す。
さびる(金属が空気中の酸素とゆっくり酸化すること・この結果できるものがさび)
さびを防ぐ(金属が空気と触れないように、表面を塗装する・表面に酸化被膜をつくる・ステンレスなど酸化しにくい合金)
化学かいろ(金属が酸素と化合して熱エネルギーを出す緩やかな反応・鉄分の酸化・活性炭を混ぜる)
☞発熱反応と吸熱反応は、2年(2014~)
吸熱反応(熱を吸収する反応・温度が下がる反応)⇒物質A+物質B+熱エネルギー→物質C
〔例〕①水酸化バリウムと塩化アンモニウムの反応Ba(OH)2+2NH4Cl→BaCl2+2H2O+2NH3
(実験中にぬれたろ紙で容器にふたをすると、水にアンモニアが溶けるのでにおいを少なくすることができる。)
②炭酸水素ナトリウム+クエン酸 C6H8O7・H2Oクエン酸
CO2が発生して、周囲の熱を吸収するので、温度が下がる。
③硝酸アンモニウム+水 (冷却パック)
または、塩化アンモニウム+水酸化バリウムを混ぜるとアンモニアが発生して、
周囲の熱を吸収するので、温度が下がる。
発熱反応(温度が上がる反応)⇒物質A+物質B→物質C+熱エネルギー
〔例〕①鉄粉の酸化 3Fe+2O2→Fe3O4 (携帯用かいろ)
酸化カルシウム(生石灰)+水 CaO+H2O→Ca(OH)2 (火を使わないで温められる弁当)
②鉄+硫黄→硫化鉄 Fe+S→FeSなどの化合
③水酸化ナトリウム水溶液と塩酸の中和(酸+アルカリ)・
有機物(C,Hを含む)の燃焼(メタンなど+酸素→CO2+H2O+熱エネルギーなど)
・メタンCH4+2O2→CO2+2H2O ・プロパンC3H8+5O2→3CO2+4H2O
・エタノールC2H5OH+3O2→2CO2+3H2O
☞有機化合物(有機物)とは、CO, CO2などを除く、Cを含む化合物。
☞正確には、CO, CO2, CS2,などの分子やKCNなどのシアン化物やCaCO3炭酸塩を除く炭素化合物。
還元(酸化物が酸素を奪われる化学変化・酸化と還元は同時に起こる)
①酸化銅を炭素で還元する:(CuOはCによって還元されCuになる・CはCuOによって酸化されCO2になる)
酸化銅+炭素→銅+二酸化炭素 2CuO+C→Cu+CO2 酸化銅の色(黒)⇒銅の色(赤褐色)
②酸化銅を水素で還元する:(CuOはH2によって還元されCuになる・H2はCuOによって酸化されH2Oになる)
酸化銅+水素→銅+水 CuO+H2→Cu+H2O
たたら製鉄(砂鉄[酸化鉄]を木炭[炭素]で還元する・日本古来の製鉄法・鉄は還元されやすい金属)
現在では、溶鉱炉で鉄鉱石(酸化鉄を多く含む磁鉄鉱や赤鉄鉱)に
コークス[石炭を蒸し焼きにしたもの・炭素]を混ぜて熱して単体の鉄を取り出す。
○金属と酸素との結びつきを調べる実験:
・マグネシウムMgをCO2の中で燃やす(MgとCではMgの方が結びつきやすい)2Mg+CO2→2MgO+C
・酸化鉄FeOとアルミニウムAlの混合物(FeとAlではAlの方が結びつきやすい)
***
化学電池:電解質の水溶液に2種類の金属板を入れると化学変化が起きて、電気エネルギーを取り出すことができる。
化学変化によって物質がもっている化学エネルギーを電気エネルギーに変換して取り出す装置を化学電池という。
(塩酸・硫酸・水酸化ナトリウム水溶液・食塩水・レモンの汁など電流が流れる水溶液[電解質水溶液]に亜鉛と銅やアルミニウムと銅など2種類の異なった金属板を使って、化学変化を利用した電池。化学エネルギーから電気エネルギーを取り出す電池。乾電池・蓄電池[充電池・2次電池]・燃料電池)
導線へ電子を放出する電極が電池のマイナス極で、導線から電子を受け取る電極が、電池のプラス極である。
・化学電池の種類:①使いきりタイプの一次電池(マンガン乾電池・アルカリ乾電池・リチウム電池など)
②繰り返して使える二次電池(鉛蓄電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池など)
・乾電池の発明は日本では、屋井先蔵(やい・さきぞう1863-1927)
燃料電池(水の電気分解とは逆の化学変化を利用した電池。水素と酸素が化学変化するときに発生する電気エネルギーを取り出す。あとに水ができる・変換効率が高い。) ☞2H2+O2=2H2O(気体)+482kJ
2H2+O2→2H2O+電気エネルギー (水素+酸素→水+電気エネルギー)
〔参考〕起電力1.2v (-) Pt・H2| H2PO3aq|O2・Pt(+) /(-): H2→2H++2e- (+):O2+4H++4 e-→2H2O
水溶液中ではオキソニウムイオン(ヒドロニウムイオン)H3O+を略記でH+と表す
物理電池(化学変化を利用しない電池・光電池など)
イオン化傾向:(水溶液中で、金属の原子が陽イオンになろうとする性質のこと。
左にあるものほどイオンになりやすく、2つのうち左側がマイナス極に、右側がプラス極になる。ZnとCuを使ったときの方が、ZnとFeを使ったときよりも起電力が大きい)
Li K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb (H2) Cu Hg Ag Pt Au
ボルタの電池(ブラス極=銅板 / マイナス極=亜鉛 / 希硫酸)イオン化傾向の大きい亜鉛が酸化されて負極になる。
正極の銅版では、水素イオンが還元される。しばらくすると、銅版の周りに泡が付いて起電力が弱まる。(電池の分極)
このとき銅版の周りに過酸化水素水を加えると泡が消えて元の強さに戻る。電子は亜鉛から銅板へ。電流は銅板から亜鉛へ。
亜鉛の表面:Zn→Zn2++2e- / 銅板の表面:2H++2e-→2H→H2
☞希硫酸に亜鉛板だけを入れると、亜鉛板の表面から水素が発生して、亜鉛板が溶けていく。
ダニエル電池(-)Zn|ZnSO4aq|CuSO4aq|Cu(+), 起電力1.1V
・負極: Zn → Zn2+ + 2e- (酸化) ・正極: Cu2+ + 2e- → Cu↓(還元)
・ボルタの電池の欠点である分極が起こらないように改良した。
マンガン乾電池(ブラス極=炭素棒 / マイナス極=亜鉛 / 二酸化マンガンと黒鉛を塩化亜鉛で練る)
エネルギー資源 ①化石燃料(石油・石炭・天然ガス)
②核燃料(ウラン原子など核分裂によって得られるエネルギー)
・水力発電(位置エネルギー・熱エネルギー・運動エネルギー・電気エネルギー)
ダムの建設によって自然環境の破壊を招く。公害が発生しにくい。
・火力発電(化学エネルギー・熱エネルギー・運動エネルギー・電気エネルギー)
二酸化炭素や硫黄酸化物が発生し公害の原因となる。
燃料の発熱量が大きい・燃料は液体にして運びやすい。
・原子力発電(核エネルギー・熱エネルギー・運動エネルギー・電気エネルギー)
燃料のウランなどの埋蔵量に限りがある。
事故発生時に放射能汚染や使用済み核燃料の処理の問題など安全性の確保に問題がある。
少量の核燃料から大量のエネルギーが得られる。
クリーンなエネルギー(新しいエネルギー)
再生可能エネルギー(ウランや化石燃料に変わる、いつまでも繰り返し利用できるエネルギー。環境への影響が少ない)
・太陽光発電(太陽電池=光電池を使って太陽の光エネルギーを利用する・発電量が天気に左右される。)
・太陽電池a solar battery(ケイ素Si半導体の薄片が示す光電効果を利用)
風力発電(風車を回す・発電量が風力に左右される)
地熱発電(地下のマグマの熱によってあたためた水蒸気でタービンを回す)
波力発電(波の力で空気を圧縮する)
燃料電池(水素と酸素が反応するときに発生する熱エネルギーから電気を取り出す)
海水揚水発電(海水をくみ上げて落下)
ごみ発電(ごみを燃やしたときに出る熱を利用)
省エネルギー(限りあるエネルギー資源を有効に利用するため)
バイオマス(農林業の廃棄物として扱われる植物体や、それらを発酵させたメタンなど、まきやわら、動物の糞などエネルギー源に利用できる生物体)
コージェネレーションシステム
(1つのエネルギー源から電気や熱など2つ以上の有効なエネルギーを同時に得るシステム。エネルギーを変換するときにでる排熱などを給湯や冷暖房に利用する。病院、ホテル、工場や大型ビルに採用。)
新素材(天然には存在しない新しい素材) ファインセラミックス(金属より軽く、熱や摩擦に強い・はさみや包丁・耐熱タイル・人工骨など。非金属の無機物質を熱処理する) 生分解性プラスチック(微生物によって自然に分解される。最終的には水とCO2に分解されるが、コストが高いのが難点である)や導電性プラスチック(電流を通すプラスチック。ポリアセンpolyacene)
高分子吸収体(吸水性ポリマー・紙おむつなどに利用) 炭素繊維(釣竿やラケット、航空機、自動車に利用)
コンピュータの素材の変化
(真空管→トランジスタ→IC→LSI→超LSI) 光ファイバー(SiO2をを原料とした石英ガラス繊維)
形状記憶合金
(高温で1度成型されたものがその後低温で変形しても元の温度に戻すと形状を復元する性質をもつ合金)
有機ELテレビ(有機化合物を塗った薄膜を電極で挟み電圧をかけて発光させる)
ナノテクノロジー
(〔例〕走査型プローブ顕微鏡。倍率は100万倍~1000万倍。ロバート・フックの顕微鏡では約50倍。)
光触媒(抗菌・脱臭・汚れ防止などの環境浄化技術の1つ。酸化チタン電極に紫外線を当てるとH2OがH2とO2に分解される反応[ホンダ・フジヤマ反応1972]) 環境問題
①地球の温暖化
化石燃料の使用や森林の減少で、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスによる気温の上昇
→気候の変動や海水面の上昇
②酸性雨・酸性霧
化石燃料の燃焼で放出された窒素酸化物や硫黄酸化物が雨滴に溶けて強い酸性の雨になる。
建造物の劣化や生物の健康への害
・一般にpH5.6より小さい(pH<5.6)雨を酸性雨という。
・通常の雨はpH=5.6。温室効果とはCO2やフロンガスは地球全体に対して温室のガラスのような働きをもち、
地表からでる熱を吸収した後、地表に向けて放射する状態をいう。
人間活動によって大規模な森林伐採と化石燃料消費の増大によって、CO2濃度は長期的に増加傾向にある。
③オゾン層の破壊・オゾンホール(フロンガスの放出→オゾン層の破壊→紫外線の増加→生物の健康への害)
④エネルギー資源の不足(化石燃料や核燃料は有限)採掘可能年数(可採年数):
現在の技術で使用可能な資源について確認された埋蔵量を1年間の消費量で割った値。石油40年・天然ガス60年・石炭230年。
⑤ごみ問題(ごみを燃やすときに発生するダイオキシンなどの有害物質による環境汚染)
リサイクルと循環型社会 バイオレメディエーション(生物学的環境修復。微生物がもつ有害物質分解能力を利用)
☞フロン(クロロ・フルオロ・カーボンの総称) フロン11(CCl3F) / フロン12(CCl2F2) / フロン113(CCl2F CClF2)
☞重金属:密度4.0 or 4.5g/cm3以上の金属。水銀Hg: 13.5 g/cm3 (20℃)・カドニウム8.65 g/cm3 (20℃)など
⑥森林などの消失(農地の拡大・伐採によって砂漠化のはじまりや生物の減少など。
森林が破壊されると、大地の保水力が低下して洪水が起こりやすくなる。また、土砂が流出しやすくなる。)
生物学的水質判定(その川にすんでいる生物から水質の汚染の度合いを知る)
指標生物:Ⅰきれいな水(カワゲラ・ヒラタカゲロウ・ナガレトビケラ・ヤマトビケラ・ヘビトンボ・ブユ・アミカ・サワガニ・ウズムシ)
Ⅱ少し汚い水(コガタシマトビケラ・オオシマトビケラ・ヒラタドロムシ・ゲンジボタツ・ゲンジボタル・コオニヤンマ・スジエビ・ヤマトシジミ*・イシマキガイ*・カワニナ)
Ⅲ汚い水(ミズカマキリ・タイコウチ・ミズムシ・イソコツブムシ*・ニホンドロソコエビ*・タニシ・ヒル)
Ⅳ大変汚い水(セスジユスリカ・チョウバエ・アメリカザリガニ・サカマキガイ・エラミミズ)
☞*汽水域(淡水と海水が混じる水域)の生物