Red Buoyant II from LeFront
Red Buoyant II from LeFront

     1979614日に川崎市とボルチモア市は、首都に隣接する臨海工業都市であることから合衆国政府の働きかけで姉妹都市となった。ボルチモアはアメリカ国旗(Stars and Stripe)と国歌(The Star Spangled Banner)発祥の地である。地元では「ボウマー(Bawlmer)」とあいまいな言い方をする人もいると「USA」という厚手の観光案内の本に出ていた。合衆国の首都は、いまのメリーランド州の州都アナポリス、ニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントンと移った。8か所あるらしい。ニューヨーク(New York) 1789-1790 / フィラデルフィア(Philadelphia) 1790-1800  / ワシントン(Washington, D.C.) 1800- / アナポリスは、178311月から9か月間はメリーランド州都アナポリスの議事堂が合衆国の「国会議事堂」となり、17841月にはその議事堂でパリ条約が調印されて、アメリカ合衆国が正式に誕生した。その間、事実上「合衆国の首都」であった。1791年メリーランド州が首都の建設地を提供し、今の首都ワシントンができた。第2日のミーティング掲載の地図をご覧ください。駅前の赤いモニュメント「レッド・ブイアントII」は、1984614日、アメリカ・メリーランド州ボルチモア市から川崎市に姉妹都市提携5周年の記念に、贈呈されたものだ。ボルチモア市在住のMary Ann Mearsというアーティストが、「燃えたぎるエネルギー」をあらわす「Red Buoyant」を1978年に制作し、それをボルチモアのインナー・ハーバーという当時はまだ珍しかったウォーターフロントの商業施設に設置した。高さは15フィート(4.5m)もある。川崎に設置されたものは台座に乗せたとき同じ高さになるようにひとまわり小さくしてある。

寄贈の石灯籠
寄贈の石灯籠

     Mary Annがこれを制作した理由は、本人のウェブにもまだ掲載されていない。直接。メールで尋ねたところ、1960年代はベトナム戦争が激しさを増していた。アメリカ国内では、1965811日にワッツ暴動(Watts Riots)が起きた。196844日には、キング牧師の名で知られ、1964年のノーベル平和賞受賞者のマーチン・ルーサー・キング牧師(Rev. Martin Luther King, Jr.)がテネシー州メンフィスでジェームズ・アール・レイ(James Earl Ray)という白人に撃たれるなど数多くの暴動が起こり、世の中が落ち込んでいた。このような状況下で、Mary Annは「アートで何かできないか」と考えて、モニュメントの制作に取りかかったのだそうだ。ボルチモアには合衆国で最も古い公民権運動組織の一つ、全米黒人地位向上協会(National Association for the Advancement of Colored People, NAACP)の本部がある。Red Buoyant IIのお返しとして、川崎市は石灯籠(A stone lantern)を進呈した。インナーハーバーの一角にあるそうです。

 

*姉妹都市とは、都市と都市が友好と親善のために提携をおこなうこと。とくに外国の都市との提携がひとつの運動となったのは1950年代である。これには,1956年にアメリカのアイゼンハワー大統領が提唱した市民の結びつきつきによって世界の民主主義と自由主義の発展を目ざしたものである。日本では1955年に長崎市とアメリカ、ミネソタ州のセントポールが最初。(Wikipedia)