Yokohama harbor high above from Landmark Tower
Yokohama harbor high above from Landmark Tower

     横浜駅で東横線を降りた。階上の出口に向かう乗客でごったがえしている。その中に、ガードマン姿の駅の案内係と思われる人が、白っぽい手袋で乗客をさばきながら立っていた。JR線の横浜駅のホームの位置を聞いた。人の流れに乗って上の階に行けばよいと丁寧に教えてくれた。JR横浜駅で、横浜線に乗った。桜木町駅には、1872年に開業した新橋・桜木町間の鉄道敷設に貢献したイギリス人技師エドモンド・モレルのレリーフや鉄道発祥の記念碑があることを知っていたので、それをゲストに見せたかったが、どこにあるのか分からないのと、妻を待たせてしまったのでこの件は却下とした。桜木町駅の改札口に妻がいると思い込んでいたが、券売機の横から「コレット・〇〇」の前にある私鉄線の駅の出口まで探したが見つからない。ゲストはWiFiが使えるとスマホを触って喜んでいた。桜木町駅に1718分に着いたことを妻にメールした。すぐ、妻が現れた。横浜市営地下鉄の桜木町駅を出た階段の所で待っていたという。友達と待ち合わせする所だそうだ。私はJRしか使わないので行き違いが生じた。「こちらが妻のです。」ゲストは日本語での挨拶の言葉を思い出しながら、「はじめ」と言いかけたとき妻が助け舟を出した。電車の中で練習して、うまく言えた「初めまして」の挨拶は、結局、妻と一緒に2人で声を揃えて言うことになった。妻から待ち合わせ場所を明確にしなかったことを責められた。ゲストは駅を背景に私たち夫婦を撮ってくれた。妻は私がもっていたカメラを手に取り、背景がランドマークタワーの上まで入るようにしてゲストと私を撮ってくれた。

Nihon-maru in dock, Yokohama Harbor
Nihon-maru in dock, Yokohama Harbor

     ランドマークタワーまでの動く歩道は、私たちが向かう右側が工事中で、桜木町駅に向かう方向だけしか使えなかった。上り坂になった歩道を足早に進む。日本丸の畳んだ帆をまとったオレンジ色のマストと、観覧車が前方に見えてきた。時計の文字は520分を示している。ゲストが写真を撮りたいと言う。海の方を眺めながら撮っている様子を横から私が撮った。いつもは行列ができている展望台行きのエレベーターの前に誰も並んでいない。3人で話し合って地上273m 69階にある展望台スカイガーデンまで昇ることにした。(入場料金11,000円)直通エレベーターはM電機製で最大分速約750m、時速だと45km/hある。2階から69階までは40秒で着くと案内があった。夕暮れであることを忘れていたが、南側から東京湾とベイブリッジ、氷川丸など一望できた。真下には野球場やレンガ倉庫が見える。何枚か撮ってから、左回りにスカイガーデンを進む。北側からは薄い紅色の空と富士山が見えた。今朝、南武線から見たのと同じ富士山だが、周りに広がる広大な景色の中にある富士山は少し小さく見える。西側に回ると外国人が多いことに気づく。みなとみらい21地区に建つ横浜ランドマークタワーは1993年7月16日に開業した。デザインはアメリカの建築家、ヒュー・スタビンス(Hug Stubbins)。当初は高さ300mの超高層ビルとなる計画だったが、建設地が東京国際空港の標準出発経路と重なるので高度制限により、70階建ての296.3mとなった。(Wikipedia)

Mt. Fuji seen from 69th floor
Mt. Fuji seen from 69th floor

     ビデオカメラを持ち歩いていることを思い出した。英語で話しながらカメラを回すのは結構難しい。私が話す特に耳触りな音声を拾うだけではなく、手ぶれも起こしやすい。話をしながらアングルやズ-ムを考えるのは思うようにいかない。正直なところ、あまりそんなことは意識しないで、ただカメラを前に向けていることが多いのだが。ビデオカメラを持って、南側の景色を撮った。69階から見える景色を背景にして、ゲストに無理やり今の心境を語ってもらった。ニュースキャスターのようにこなしている。もう一度、日没の具合を確かめたくなり、もう一度北側に回って、夕闇に浮かぶ富士山を撮りに行った。北側にあるエレベーターホールでは、少しだけ下りのエレベーターを待った。さきほどまで紅の空に浮かんでいた富士山はほとんど見えなくなっていた。

At Sushi Restaurant (not on moving belt)
At Sushi Restaurant (not on moving belt)

     下りエレベーターを5階で降りて、階段横の案内板に「沼津〇〇鮨」の文字を見つけた。市民ミュージアムのレストランにいたときから、武蔵小杉に向かう市バスの中にいるときまで、何回かメールをやり取りしながら妻と連絡を取り合って夕食は横浜にしようと決めていた。ランドマークタワーの中にあるレストランでお寿司にしようと妻が決めた。夕食どきだが、このときは並んでいる人がいなかった。案内係りの女性に写真撮影をしてもよいかと尋ねたら、目の前にいた板長が、快諾。カウンターの向こうにいる板長さんと板前さんの笑顔がきょうの客の入りを表している。妻とゲストはコートを椅子の背中に掛けて、座ろうとしていた。ゲストは黒いセーターの上に、肩から胸の下まで掛かる長めのネックレスをたくさん提げて席についていた。私はけさ音を立てて吹いていた寒風をしのぐために厚手の上着を着ていた。テーブルの下にあった大きめの収納容器にかばんとコートを押しこんでから、それをまたいで席に着いた。

Help yourself
Help yourself

     飲み物の注文が済み、しばらくすると氷入りの水の入った大きなグラスと緑茶が届いた。妻と私はメニューを見ながら、ゲストから聞いていた食べられないウナギと穴子の入っていない握りを探した。握りのセットと追加の巻物を注文した。ゲストは、きょうまで訪れた3つの美術館のパンフレットの束を、テーブルの上に広げて、妻に説明している。サラダが届くころにはしまい込んでいた。食べ物が運ばれる前の間の取り方を学ばせてもらった。板に載った握りが来た。ゲストはテーブルいっぱいに並んだ寿司の写真が撮りたいと言った。撮り終わったところでゲストは使い慣れた手つきで箸でサラダから手を付けた。待ってましたと私は、箸の動きとテーブルの寿司が映るように画面を決めた。「追加注文の3品の中には嫌いなものはなかったので、ゲストはひと巻きずつ食べた」と言った。握りの中に小魚の載ったものと小エビの載ったものがあった。小魚は何とか口に入れて飲み込んだようだが、小エビの方はためらっていた。私のマグロと交換してもよいと言ったら、そのときはまだ食べるつもりだったらしい。しばらくしてからもう一度、交換してもよいと私が言うと、OKの返事が返ってきた。それぞれを板を載せて交換した。カニの入ったお吸い物は、大きめのカニで身は取りにくかった。味わうだけのものだと妻と話した。寿司に夢中になっていて、ゲストがカニ汁をどのようにしたかは見ていなかったが、妻に後で聞いたら、私たちが食べるのを見て同じようにしていたそうだ。そろそろ満腹になったころに、後ろの席で子供が、何かをこぼした。振り向かずに追加注文した残りの品を食べた。係りの女性が2人で、忙しく駆け回っている。正面から来る別の女性を捕まえて冷水と緑茶のお代わりを頼んだ。

Beckoning Ape (招き猿)
Beckoning Ape (招き猿)

     会計は妻に任せ、先に2人で店を出ると、10人ほど店の前に並んでいた。その列とは反対方向進んでゲストと待っていた。妻とゲストが化粧直しに行っている間、ガラスの向こうに並んだぬいぐるみの集団と、その前にいたウェスタンスタイルの衣装を着たサルの人形を撮る。テンガロンハットを斜めに被り、愛嬌をふりまいている。「招き猫」をまねたように、右手をあげて手招きしている。この「招き猿」がいる店の横に宝くじ売り場があった。去年の年末ジャンボ宝くじの1ケタだけ当選した1枚が、少ししか入っていないお札の間に押し込んであるのを思い出し、財布から出して現金に換えた。小銭をしまおうとしているところに2人が現れた。宝くじを買うよう妻に勧められたが、「ちょうど販売時間が終わったところだから買えない」と私は言った。ゲストは、昨日、市役所で企画書の説明をした後に、郵便局で両替して以来、相性のいいATMに巡り合っていないと言う。フロアの中央にある案内所でATMの場所を聞いた。3階のスタバの脇にあると教えてくれた。コーヒーショップの隣にATMか。コーヒーには縁のある人に違いない。エスカレーターと階段を乗り継いで、やっと郵便局のATMを見つけた。ジェラートの店の前を2回通った。フロアの両端のつくりが似ていて、少し迷ったが、どうにかランドマークタワーから脱出できた。動く歩道の上を歩いて、桜木町駅に向かう。妻が「クイーンズ・スクウェアの3つに並んだビルの上のイリュミネーションがきれいだから見せたらどうか」と言う。桜木町の駅前からだと、3つに並んだビルに近い場所にいるため、無理ではないかと思った。駅の近くからかろうじて、それらしい姿を見ることができた。